北海道東北自転車ツアー・準備編

おかげさまで札幌から仙台までの725kmの自転車ツアーが無事に終わり、日本縦断が完了しました。日常に戻って日々慌ただしく過ごしております。道中応援して下さった皆さん、ライブにお越し下さった皆さん、ありがとう御座いました。

この旅の記録を何回かに分けて文章に残したいと思います。

——-

北海道東北自転車ツアー・準備編

いよいよ日本縦断を完成させる最後のピース、北海道は札幌から仙台を走る旅が始まる。

昨年町田から仙台までそして根室から札幌まで走ったドイツFELT社のアルミのロードバイクは軽くて走るのが楽、輪行を組むのも楽、言うことない。最高。

が、自分としてそれでいいのか。本当にそれでいいのか。石田ショーキチという人間のアイデンティティとして、ブリヂストンユーラシアに乗らなくていいのか。

重かろうが遅かろうが、少年時代にお前はその自転車に憧れてそれを手にし全国を走る喜びを味わってきたのではないのか。他人と同じようなロードバイクで一体何がロックか。

そんなことを悶々と一ヶ月くらい悩んだ末、77年式ユーラシア・ロードレーサーで行くことを決意。

ただ、決して乗りやすい自転車ではないし、ギアの組み合わせなど工夫して作らないと奥羽山脈を二度越えるこの旅には適さない。まずはそこから。

FELTはよく出来たロードバイクで、ギアはフロント2枚50-34、リアは9速で13-28。クランク長は170mm。自転車のギアというのは簡単に言うと前が大きく後ろが小さいほど速く、前が小さく後ろが大きいほど登りが楽。FELTのギア比はロードバイクとしては標準的で、高速巡行は13/50、登坂は28/34というもので非常に乗り易い。坂も楽。

これに対しユーラシアの純正スペックはフロント50-42、リアは5速で14-22。クランク長は165mm。地獄のようなスペックである。

一昨年広島から鹿児島まで走った際には、まずフロントを51-38に変更し、リアのローギア22だけ登坂用に28に変更して走った。私のような貧脚だとこれでもなかなかしんどく、熊本県の「三太郎峠」と呼ばれる赤松太郎峠、佐敷太郎峠、津奈木太郎峠の三連続の峠には本気で苦しめられたので、やはりフロントは36以下のギアを付けたいところ。

しかしながら大きなギアと小さいギアの差が大きくなるとリアの変速機のスペック(キャパシティと言う)を上げなければならず、古のロードレーサーにあまり不細工な長いケージの変速機はつけられない(付けたくない)ので、色々と試行錯誤の末、枚数の少ない後ろ5枚を補うために前を3枚にするという暴挙に出た。50-47-34。47は非常に使い勝手がよい。

次いで、シフトレバーの位置をどうするか。普通はダウンチューブに二つのレバーが並ぶのだが、これが走行中特に登板中に操作するのがなかなか辛い時があり、可能なら現代のロードバイクのようにハンドルから手を離さずに操作したい。ということでサムシフターなるレバーを手に入れてあっちこっちに色々付けて試して、かなり独特な位置に取り付けた。

そしてタイヤ。このユーラシアはチューブラータイヤという特殊なタイヤを使用する。一言で言うとパンク修理が簡単には出来ず、タイヤそのものを貼り替えることになる。熊本の海岸線を走行中にパンクして非常に難儀した経験から、通常のクリンチャータイヤに交換しようかと悩む。しかしクリンチャータイヤにするためにはリムを付け替えるか別のホイールを用意するかしないとならず、悩んだ末によりパンクしにくいタイヤに(今まで使っていたタイヤの二倍の値段がする)、シーラントというパンク防止剤を注入してチューブラーのまま使用することにした。

最後にシート。サドルとも言う、ようはイス。座るところ。普段はセラサンマルコというイタリアのメーカーのROLLSという最高にカッコいいクラシカルなシートを使っているのだが、これが長距離にはちょっとしんどく、固定ローラー台でトレーニングしていると尿道がジンジンしてきて辛い。サドルはルックス的にとても大きな意味を持つが、背に腹は変えられないので、現代のシートに付け替えた。

そして組み上がったユーラシア2024年バージョン。非常に乗り易くなった。欲を言えばリアのトップギアを14より小さく、フロントのアウターギアを51か52にすればもっと高速巡行出来るようになるが、変速機のスペックからしてもこれが限界なのでひとまずコレで行こうと決めた。

6月6日、羽田から新千歳に飛ぶ。

6月7日、一日だけ支笏湖で釣りを嗜む。野生のブラウントラウトは今回も私に冷たかった。道すがらの国道でヒグマが道路を横断する様を目撃。あまりに勇壮、圧巻。森林の王者。人間はちっぽけだ。

札幌まで30km自転車で移動しながら細部の調整を繰り返す。
ムジカホールカフェの店主と居酒屋で一献。焼き鳥も魚も美味。

明日から旅がスタート。どんな度になるやら。

続く。